大久保集落への想い

藤枝の最奥部、険しい山道を抜けた先ににひっそりと佇む大久保集落

そんな大久保に空き家があるよ、と声をかけて頂き見学にきた私達夫婦は

母屋よりも併設されていた古い木造茶工場に一目惚れをしてしまいました。

壁は崩れ、崩壊寸前、たくさんの物で溢れかえった茶工場でしたが

そこに流れる空気はとても優しく、この土地の記憶をひっそりと受け継いでいるような

そんな雰囲気があったからです。

そしてこの茶工場にもう一度ざわめきを取り戻したい、そんな想いと共に移住を決心しました。

大久保での暮らしは、とてもシンプルです。

厳しくも美しい自然、山の動物達、集落の皆さんの暖かさは

いろんなものでがんじがらめだった私をありのままの姿に解放していってくれたように思います。

茶工場の改修に至っても「自分が素直に美しいと思えるかどうか」の物差しを大切にしました。

木材は出来る限りもともとの茶工場の古材や、集落に眠っていた古材を分けて頂き再利用しました。

朽ちてしまった壁には竹小舞を組んで土壁を新たに築きました。

自然の素材達は、年月と共に傷や歪みは生じるものの、その年月をもって生みだされる表情は

何にも代え難い美しさを讃えているように思います。

また、誰かの手によって大切に育まれた記憶のある物には人を癒す力があるように感じます。


そんな私達のこだわりがたくさん詰まった『お山の道具店』ですが

一番美しいのはこの集落で営まれている毎日の日常だと思っています。

ここ大久保には樹齢300年の大茶樹や、在来の作物

そして今もなお受け継がれている独自の風習や文化が残ってます。

それらを守りながら、お互いに顔の見える関係で、温かく優しい気持ちで生きていける毎日。

是非この素敵な集落に一度ゆっくりと遊びに来て頂けたら嬉しいです。

日本の中で、このような小さな集落は次々と姿を消していっているのが現状ですが、

忘れてはいけない大切なものが、ここにはまだたくさん残っているように感じています。